2011年02月03日

3年に及ぶ国分寺3・2・8号線訴訟の最終意見陳述がありました。

1月27日(木)、東京地方裁判所において、国分寺3・2・8号府中所沢線の事業認可取り消しを求める行政訴訟の最終弁論が行われ、傍聴席が足りないほど大勢の方々がつめかけました。

府中所沢線の国分寺部分に関するこの訴訟では、小平部分と共通する多くの問題点が指摘されています。原告側の最終準備書面に関する陳述は、最終準備書面に記載した内容の要約と裁判官への要望となっていますので、これを下にご紹介します。(*原告側の180ページ以上におよぶ最終準備書面については、その目次を、次の日記で公開予定です)

この訴訟の判決は、3月29日(火)午後2時、地裁522法廷で出されます。行政のあり方が厳しく問われる今、原告が指摘した事業認可の違法性についてきちんと検討し、司法として適切な判決を行われるよう願います。



(以下は、最終準備書面に関する陳述です。)

平成19年(行ウ)第770号
 原 告 石川豊治 外
 被 告 国(処分庁 関東地方整備局長)

             最終準備書面に関する陳述 
2011年1月27日

東京地方裁判所民事3部  御中

    原告ら訴訟代理人 弁護士 鈴 木 亜 英
                  同          竹 中 喜 一
                  同          吉 田 健 一
                  同          中 野 直 樹
                  同          伊 藤 克 之
                  同          木 村 真 実
                  同          渡 邊   隆
                  同          秋 野 達 彦
 同          服 部 弘 幸

1 裁判所に求められる明確な違法判断(弁護士 吉田健一)

 本件道路は、都3・3・8府中所沢線の一部であり府中市武蔵台の多喜窪通りを起点として国分寺市東戸倉の五日市街道を終点とする約2.5キロメートルの区間です。
 本件道路の建設予定地及びその周辺は、主に国分寺市中央部の住宅街であり多くは第一種低層住居専用地域に指定されているほか、一定の農地など貴重な緑地を含むものです。約250世帯、約800人もの多くの住民が立ち退きを余儀なくされ、長年の間に培ってきた生活の基盤、人間関係を奪うことになります。しかも、本件道路がつくられれば、大気汚染や騒音被害などの道路公害を発生させ、健康破壊をもたらすのみならず、本来保全するべき農地などの貴重な緑を奪い、自然環境や住環境を破壊することになります。東京都や国分寺市が定めている環境基本計画とも様々に矛盾するものです。そんな道路を建設するために、なぜ540億円という巨額の費用を投じてまで強行しようとするのか。様々な住民の不安や疑問の声は当然です。これらを無視して、十分な説明もせずに進められてきたのが本件道路計画です。
 しかし、都市計画法は、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきことを基本理念としています。本件道路が、都市計画法に反すること、違法であることは明白です。
 ところが、2007年11月、国は、そのような本件道路の計画事業を認可してしまったのです。
 しかも、本件の事業認可は、環境に影響ないなどとする重大な誤りを犯している環境アセスメントを鵜のみにしてなされたものです。住民の生活と権利を侵害し、健康破壊までもたらす本件道路の問題ある事実を無視し、問題点を考慮せず、あるいは問題を問題として評価せずになされた全く不合理な行政処分です。小田急事件最高裁判決(平成18年11月2日)は、行政庁の裁量を広く認める点で問題のある判決ですが、この判決の立場に立ってみたとしても、本件事業認可が違法であり、取り消されなければならないことは明白です。
 具体的な問題について、個々の陳述により明らかにいたしますが、提訴して3年以上に及んだ審理を終えるにあたって、特に本件のように公害まで発生させるムダな公共事業に対して、その誤りを正す裁判所の役割を是非ともきちんと果たしていただきくよう強く求める次第です。このまま行政の違法が放置されれば、悲惨な健康被害や権利侵害など、回復しがたい重大な結果をもたらします。最近の諫早湾の干拓問題や鞆の浦の景観破壊問題などで行政の問題点を明確にした裁判と同様に、住民の期待は極めて強いものです。是非とも、期待を裏切らず、本件事業認可の違法性を明らかにして、これを取り消し、裁判所が適切な役割を果たすよう重ねて強く求めるものです。

2 公共性の不存在について(弁護士 木村真実)

 本件道路には公共性がなく、無駄な道路であることが明らかになっています。
まず、第1に、この国では、道路を走る自動車が減っていくということです。そもそも本件道路に関わる東京都の交通需要予測は明確な計算過程が示されていませんが、東京都内では2005年にすでに交通量の減少が開始し、国全体でも2020年には減少を開始する見通しが示されています。人口の減少やそれに先だつ自動車保有台数の減少に鑑みれば、国分寺市を初めとしたこの地域の交通量の減少も確実なのです。交通量が減少していくことが明らかなのに、新しく大きな道路をつくるのか、ということです。
 第2に、本件道路は、多摩地域の南北道路・環状道路としても、府中街道のバイパスとしても不要であるということです。本件道路と並行する府中街道は現在でもそれほど混んでおらず、近時出された府中街道及び本件道路の交通量予測は大幅に減少しています。現在及び将来の交通需要は、府中街道の改良によって十分にまかなえます。府中街道の改良は既に着手されていますが、未だ改良の余地はあり、その計画も具体化しているのです。今も、これからも、本件道路なしに自動車は移動できるのです。
 第3に、本件道路が地域環境の保全や都市防災の強化に役立つということもないということです。地域環境を保全したいのであれば畑は畑のまま、樹木は樹木のまま残せばいいのです。都市防災を強化したいのであれば、市内の細い幹線道路を拡幅することが先決です。
 本件道路には、このように公共性がない上、国土交通省の事業採択の前提であった費用対便益の計算は明らかに誤っていますし、基礎調査における将来予測もされていません。
 本件道路を事業認可したことは、小田急事件の基準からみても違法なのです。
 それでも、道路が造られようとするのは、机上のネットワーク論にひきずられているからであり、道路で利益をあげる人たちがいるからです。
 この数年、公共事業に対する国民の見方は一段と厳しさを増しており、国の政策も大きく変化しています。裁判所におかれましては、こうした状況を踏まえ、適切な判断をお願いします。

3 大気汚染を激化させる本件道路建設
(弁護士 吉田健一)

 まず、第1に、本件道路は、大気汚染を激化させ健康被害を発生させることになります。道路公害により気管支喘息患者が大量に発生し、悲惨な健康被害がもたらされていること、それが法的に違法であることは、西淀川、川崎、尼崎、名古屋南部そして東京と様々な訴訟で明らかにされてきました。東京大気汚染で勝ち取られた医療保障を受給する患者は、東京で7万人、国分寺市内だけでも1031名も存在しています。特に小中学生をみると国分寺市内の気管支喘息の患者は2001年で191名だったのが05年には364名へと急増しています。本件道路ができればさらに大気が汚染され健康被害もいっそう広がることは明白です。
 第2に、本件アセスには、大気汚染とその被害を看過するという重大な問題があります。そもそも、本件道路と同様の交通量が発生している類似事例では環境基準を超える激しい大気汚染があることを無視しています。本件アセスは交差点等での汚染や面的汚染も考慮せず、NOX環境基準値内であっても現に多くの患者がおり健康破壊がもたらされている事実を看過しています。さには、光化学スモックの環境基準は検討から除外し、心臓疾患までもたらすことが明らかにされているPM2.5についても検討すらしていません。特に、PM2.5については東京都自らが重大な健康被害を懸念し対策を検討すると宣言してます。本件道路では、これを無視して計画を強行するというのは言語道断といわなければなりません。
 このように道路公害や大気汚染で健康被害が広がっている現状のもとで、本件道路による大気汚染について必要な検討すら行わず、類似事例や複合汚染、面的汚染など汚染や健康破壊の事実を無視してなされた本件アセスの誤りは明白です。それを前提とした道路計画、その事業認可の違法性はあきらかです。

4 騒音被害を発生させる本件道路建設
(弁護士 伊藤克之)

 騒音は、感覚の問題であるとか、慣れれば問題はないとか言われがちですが、実際には睡眠妨害を引き起こすばかりか、虚血性心疾患の死亡リスクを高めるとする研究報告があるなど、重大な健康被害をもたらす深刻な被害です。
 現場協議で体感していただきましたが、第一種低層住居専用地域に指定された静謐な環境の住宅地に本件道路の騒音がもたらされれば、沿道住民に深刻な睡眠妨害や健康被害などの被害をもたらすことは、容易に予測できることです。そのことは、現場協議で確認していただいた、東八道路の騒音状況からも推察できるはずです。
 にも関わらず、本件アセスメントは、予測される騒音は環境基準の範囲内として、騒音被害による環境破壊を否定しました。
 しかし、アセスメントが用いた環境基準には、「幹線交通を担う道路に近接する空間」における特例を含むものです。近接空間の特例では、昼間70デシベル、夜間65デシベルが基準ですが、「騒々しい事務所内」の騒音が70デシベルとされており、静謐な住宅地にそのような基準を持ち込むのは、現況を無視するものと言わざるを得ません。
 また、近接空間の特例自体が、国道43号線訴訟の最高裁判決に反しており、またWHO欧州委員会の基準と比べても過度に緩やかな基準となっています。
 そして、近接空間の特例の適用に対しては、アセスメントにおける知事意見や国分寺市長の意見でも、これに批判的な見解が示されています。即ち、知事は「道路交通騒音については、計画道路周辺の用途地域が第一種低層住居専用地域であることを踏まえ、一層の低減を図ることを検討すること」とし、市長は「騒音・振動の基準は幹線道路の特例基準でない評価基準とされたい」としています。行政が行ったアセスメントに対し、行政内部で批判がされているのです。
 特に危惧されるのは、本件道路と国分寺3・4・6号線との交差点の近くにある国分寺市立第五小学校です。ここで発生する騒音により、同小学校の学習環境が阻害されるおそれは極めて高いにもかかわらず、アセスメントではその点が評価されていません。
 このように、騒音被害が発生する蓋然性が高いにもかかわらず、アセスメントは重要な点における予測・評価を怠り、環境への影響を否定していますが、そのようなアセスメントは、東京都環境影響評価条例にいう「公害の防止、自然環境及び歴史的環境の保全、景観の保持等について適正な配慮がなされることを期し、もって都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的とする」条例の趣旨に反すると言わざるをえません。
 このようなアセスメントを前提とする本件事業認可が違法であることは明白であり、これを取消し、計画を速やかに見直す必要があります。

5 奪われる住環境と居住の権利(弁護士 渡邊 隆)

 裁判所には、現地における進行協議の際、本件計画道路予定地へとお越しいただき、現状をご覧いただきました。五感をもって感じ取ってもらえたことと思います。進行協議時のことを、よく思い出しながら、陳述に耳を傾けていただけたらと思います。
 本件道路計画地である国分寺市は、「武蔵野」と呼ばれる地域の一部です。昔ながらの農地や緑地が今も残されている一方、いわゆる郊外のベッドタウンとして、戦後、発展してきた街です。この地に本件計画道路を建設すること自体、「農住調和地区」と位置づけてきた東京都の政策や、積極的に緑地保全を掲げてきた国分寺市の政策、また、居住環境区域内には道路を通さないということを基本方針とした「多摩地域都市計画道路基本計画の基本方針及び基準」にも反するものです。
 本件計画道路開通地域のうち80%を超える地域が第一種低層住居専用地域として、指定されています。この沿道地区内には、現在、人口約5100人、2200世帯の住民が居住し、良好な住環境を享受しています。
 本件道路計画が都市計画決定されたのは、今から40年以上も遡る1965年のことです。都市計画決定時点と現時点とでは、市街地化の状況や人口の増加等すっかり様変わりしてしまっています。すでに計画決定時点で前提としていた状況とは異なる状況にあります。このような様変わりしてしまっている状況のもと、本件道路計画を推し進めなければならない合理的な理由は見あたりません。
 本件道路計画決定後40年以上もの間、東京都からは、住民らに対する十分な説明や告知もなく、計画は放置されてきました。結果、現在のような住宅地化を招くに至りました。そればかりではなく、東京都は、放置していた本件道路計画をすすめるや否や、道路幅員を拡張する計画変更を行い、その地で生活している原告ら住民らの生活など一顧だにしませんでした。東京都にとっては、本件計画道路は地図上にひかれた一本の線に過ぎず、その地で生活する原告ら住民のこと念頭になかったと言わざるを得ません。
 東京都が本件道路計画を放置していたこの40年以上もの時間は、原告ら住民らにとってはとても大きなものでした。原告ら住民は、国分寺市の自然が多く、静謐な住環境、利便性等に惹かれ、移り住み、それぞれがこの地で人間関係を築きながら生活してきたものです。
 本件計画道路が建設される結果、奪われることになる「居住の権利」や「良好な住環境を享受しうる権利」は、経済的な権利にとどまりません。人格的な権利としての側面がとても強いものです。うち金銭補償しうるのは、ほんの一側面に過ぎず、金銭補償し得ない側面があることを裁判所には是非ご理解頂きたいと思います。
 本件道路計画が「公共性」を欠き、大気汚染や騒音等の道路公害を発生させるものであることは先に述べたとおりです。そして、本件計画道路の建設が原告ら住民の生活を破壊するものであることは明らかです。
 以上のとおり、本件道路計画が、これまで築き上げられてきた原告ら住民の生活を破壊することは明らかであり、この点ついて十分な検討もせずに、本件道路建設を安易に認める事業認可は違法といわなければなりません。

6 適正手続及び説明義務違反の本件道路計画(弁護士 秋野達彦)

 本件道路計画は、これまで述べたとおり、その内容において多くの問題があります。それに加えて、本件道路計画は、その手続面においても、これから述べる2つの看過できない大きな問題があります。

 まず、第1の問題は、本件道路計画では東京都環境影響評価条例が定めている手続が履践されていないという問題です。
 東京都環境影響評価条例では、計画段階アセスにおいて採用可能な異なる複数の計画案を策定しなければならないと規定されています。しかしながら、本件では、計画段階アセスにおいて東京都が策定した3つの計画案は、ほとんど同じ内容でした。環境省や国土交通省のガイドライン等で求められている「ゼロ案」(事業を行わない案)も策定されませんでした。府中街道の拡幅整備という既存道路の改良再生案も策定されませんでした。2車線案や地下案などの採用可能な計画案も、全く策定されませんでした。
 このような本件のアセスは、東京都環境影響評価条例が定めている「採用可能な異なる複数の計画案の策定」という手続を履践しているとは到底いえず違法です。そして、違法なアセスを前提になされた本件道路計画の事業認可も違法です。
 第2の問題は、本件道路建設事業について、東京都が、住民との合意形成や住民への説明責任を全く果たしていないという問題です。
 最終準備書面の別紙「説明責任に関する一覧表」に記載しましたとおり、国土交通省は、1997年以降、一貫して、道路建設計画における住民との合意形成及び住民に対する説明責任を重視する政策や方針を掲げてきました。そして、参加人東京都自身も、同様の政策や方針を掲げてきました。現在、本件のような道路建設計画において、市民等の多様な関係者に情報を提供した上で、広く意見を聴き、政策や計画の立案に反映するプロセス、すなわちパブリック・インボルブメント(PI)が重視されなければならないことは、疑いの余地もありません。
 ところが、本件において、東京都は、住民との合意形成を図り、住民への説明責任を果たすどころか、逆に、住民を無視した道路建設事業を強行しました。本件道路事業が具体化すればするほど、東京都は、道路建設ありきの姿勢を露わにし、最後には、住民との話し合い自体を拒絶するに至りました。住民への説明会についても、質疑応答の時間を十分に設けない、再質問を許さない、終了時刻になると参加者が手を挙げて質問をしようとしているのを無視して一方的に説明会を打ち切る、住民からの再度の説明会の開催要求にも一切応じないなど、名ばかりの形式的な説明会でしかありませんでした。
 東京都は、住民に対する法的義務としての説明義務に違反しています。環境影響評価条例17条で求められている環境配慮書の内容を住民に「周知」するための「必要な措置」を講じたとも到底いえません。

 長年住み慣れた土地を奪われ、或いは、生活環境を大きく変更させられる住民にとって、行政から道路建設計画に関する十分な説明を受けることは、最低限の手続保障です。PI方式による住民参加の道路建設が全国各地において実現している中で、本件道路事業における東京都の姿勢が、いかに住民を無視するものであり時代に逆行するものであるのか、これらの点からも、本件事業計画の重大な問題点をご理解いただき、本件事業認可の違法性を明確に判断していただくよう求める次第です。

7 原告適格について(弁護士 服部弘幸)

 原告標博重、原告下司上、原告沼田よし子の原告適格について、被告である国は、この三名が、本件道路における東京都環境影響評価条例の事業段階関係地域に居住していないことをもって、原告適格がない旨を主張します。しかし、この三名についても原告適格は認められるべきです。
 そもそも、行政機関が行う施策、処分は、様々な影響を広範囲にわたって及ぼすものであります。そして、この行政の施策による影響によって被害を受けた者は、速やかに救済をすべき要請があります。この救済を認めるには司法的判断によるしかないのです。
 そして、このような救済手段を広く認める必要性があったので、平成16年に行政事件訴訟法が改正されました。原告適格については、9条2項に掲げられた判断基準によって実質的に広く認めるべきことが定められたのです。そしてこの法改正を受けて、平成17年に最高裁判所は、行政訴訟における原告適格を拡大する判決を出したのです。
 原告標、同下司、同沼田には、仮にこの道路が建設されると大気汚染などの被害を受ける可能性が非常に高いです。また、この三名の方々が今まで慣れ親しんできた国分寺市内の文化的利益がこの道路建設によって破壊されるかもしれないのです。このような三人が享受してきた健康・環境・文化的利益を破壊する危険がこの道路建設によって起こりうるのです。
 この道路建設をめぐる裁判おいて、これら3名の方の裁判を受ける権利を奪うべきではありません。そして少なくとも行政機関の区割りにすぎない事業段階関係地域によって原告適格を判断すべきではないのです。
 裁判所におかれましては、この三名の原告の裁判を受ける権利を不当に奪うことのないよう適切なご判断を求めます。

8 意見陳述(原告 標 博重)

 審理を終えるにあたって、次の2点について意見を述べます。
 まず、国分寺市民が要求する道路政策は328号線の整備ではありません。
 国分寺市内の幹線道路の大部分は歩道がないに等しく、車椅子が安全に通ることができる道路が殆どありません。市民の願はこれらの危険な道路を人や自転車が安全に、そして車も円滑に通過できるように改良再生することです。
  328号線は国分寺市民にとっては必要のない無駄な、大きな公害とまちこわしをもたらす有害な道路です。
これからは車の需要がどんどん減っていく時代でもあり、また地球温暖化防止のためには大量の発生源である自動車の総量規制が必要です。そして車依存から人とくらし優先の社会に転換するためにも328号線建設は中止すべきであると思います。
 事業認可を取り消してください。

 次にぜひお願いしたいことは、裁判所に国民の視線に立って行政の裁量権を厳しく審査していただきたいということです。
 詳細は1月11日付で提出した報告書に記載しましたが、認可権者関東地方整備局と事業者東京都は認可の重要な要件である将来交通量予測において平成42年には沿道6市のODが34%もそして国分寺市の内々ODが平成17年より51%も増大すると主張していますが、私が訴えたいことは関東地域の将来交通が減少傾向なのに、34%増とか51%増とかの予測があまりにも非常識だということもですが、都も関東地方整備局もそして本省の国土交通省さえもこの増加予測の要因を説明する文書を持っていないという無責任さです。つまり何故増えるのかを具体的に説明できないのに平然として本件バイパスが必要だと主張していることです。問題はこの行政の無責任さとこの予測を常識的にもおかしいと思わない行政感覚です。これも広範な裁量権の範囲として認められることなのでしょうか。事実誤認、社会通念からとても認められることではないと思います。これはこの1年間、行政との折衝をとおして痛感したことです。行政両者の担当者は私に誠実に対応しましたが、行政機構は無責任で公正さと合理性を欠落しています。
昨日、開示請求の回答が関東地方整備局からきました。将来交通量予測の証拠になる資料は示されていませんでした。必要なら証拠として提出します。
 なお、小平市338号線は国分寺328号線の延長であり、両者は同じ手法で予測を行っています。
 裁判所にお願いです。行政の裁量権を、行政のあり方を厳しくチェックして、認可を取り消してください。

9 意見陳述(原告 荒井澄江)

 これまでの14回に及ぶ口頭弁論を通じて、また多くの書証により、原告側の考えや事実をお伝えしてきました。これに対し国と東京都の反論は、ただ手続きを踏んでいるという事務的なものにとどまり、ほとんど反論らしい反論はされませんでした。この裁判を通じ、原告側の請求は正当なものであり認められなければならないと、より一層確信しました。
 「公共性」とは、関係住民を中心とした広範な住民に、かなりの利益性が存在するものだと、私は理解しています。しかし本件道路計画においては、その建設によって関係住民の受ける損害は多大であり、それに優る「公共性」はとても見いだせません。
 私は、人一倍「音」に敏感です。現在の住居は本件計画道路からわずか20mしか離れていません。これまでは第一種低層住居専用地域に指定された静かで緑豊かな環境で暮らしていました。本件計画道路が建設されれば、65〜70dB以上の騒音が生ずることは間違いなく、夏でも窓を閉め切らないと、暮らすことは不可能でしょう。
 50dB以上の騒音に曝されると、虚血性心疾患を引き起こす危険性が大きいという論文もあります。このような騒音の中で暮らさなければならないことは、私にとっては受忍限度をはるかに超えています。
 また私の夫も、音楽を仕事にしていますから、私同様「音」に敏感です。そして夫はC型肝炎を持ち、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がんを経験しています。本件計画道路によるストレスに曝されざるを得ない夫もまた、私同様の苦痛を受け続けることになるでしょう。近接空間特例基準の適用は、私たち住民の暮らしの実態を無視したものであり、本件計画の持つ違法ともいえる大きな問題点です。
 大気汚染による健康被害も心配です。現在でも自宅近くには府中街道、五日市街道、戸倉街道があります。このうえ本件計画道路に囲まれることになると、より一層大気が汚染されることになります。アセスでは超微粒子「PM2.5」は対象にされていません。しかしPM2.5が肺の奥深く侵入し、喘息や肺がんを引き起こす原因となることは常識となっています。私は道路公害による健康被害を大変恐れています。今ならまだ間に合います。この計画を見直し、健康被害を未然に防ぐとことを強く求めます。
 さらに、本件道路計画による生活の破壊も大きな問題です。50本以上の生活道路が断ち切られ、買い物や通院などにも、回り道しながら本件計画道路を横断しなければならなくなり、かなりの生活上の不便さを強いられます。そしてまた、人びととのコミュニケーションも阻害させられるでしょう。
 これほどの損害を受けながらの生活を強制されることは、全く納得できるものではありません。このような多くの問題を抱える本件計画道路の建設に540億円もの膨大で無駄な税金がつぎ込まれようとしています。「公共性」は皆無に等しいといえます。
 裁判長におかれましては、これらのことをお受け止めいただき、本件計画道路建設の認可を取り消してもらえますよう、心から要望いたします。

10 意見陳述(原告 上山興士)

 私たち地権者・権利者は、2007年11月26日、国が国分寺3・2・8号線の事業認可を行って以降、かけがえのない人生の営みを大きく狂わせられてきました。閑静な住宅街を無残に分断する道路建設のために、約250世帯、約800人もの生身の人間が問答無用に立ち退きを迫られる事態に直面されてきました。住み続けたいがやむなく移転先を探して引越しされた方、補償内容は納得いかないけれど、家族の要望でと、泣く泣く移転された方、このような事例は枚挙にいとまがありません。
 昨年12月13日に行った「権利者の会」と北多摩北部建設事務所との話し合いで私は、「いまだに200名ぐらいの人が動けない状態ではないか」「理由は何か」と質しました。都は、その理由として「@高齢の方や生活が苦しい方、病弱の方もいる、A移転はしたいが移転先が見つからない、B移転のためには体を動かさないといけないし時間もない」ことがあると答えました。これは、私たちが主張していたことを、東京都自ら、本事業の不当な進め方を認めたことではないでしょうか。裁判長、都の強引な任意買収が行われている状況下でも、いまだに多数の地権者・権利者が、「動くに動けない」深刻な事情を抱えて悩み続けているのです。地権者の苦悩に向き合い、この町に住み続けたいという願いをご推察して頂きたいと考えます。
 私たちは、33回に及ぶ、「権利者のつどい」を開いてきましたが、最近更に地権者の悩みや不安は深まっています。「担当が替わったと評価額を3割も引き下げてきた。引越しも出来ない」(80代女性)「初めて参加したが、今の額では話にならん。三年前の都の査定が紙切れになった」「お客がどんどん引越して売上げが減り、やっていけない」「36メートルに計画変更されて土地が予定地に掛ってしまったが、家の立替も移転もできない」(商店主)など、痛切な悲鳴が上がっています。
 私自身のことを述べます。いま、私の周りの家やアパートは、すべて解体され私の家一件だけが取り残されてしまいました。家族の孤立感は深く、毎日悩みながら暮らしています。解体時は、ドーンドーンとものすごい騒音と埃に苦しみ、まるで「出てけ出てけ」と言われているようでした。人間の尊厳を踏みにじる国や都のやり方には、心の底から怒りを感じます。昨年12月「よみがえれ!有明海訴訟」の控訴審で福岡高裁は、潮受け堤防の開門を命じ、菅首相は、上告を断念しました。B型肝炎損害賠償裁判でも和解が成立する見通しです。いま、国民のいのちや健康、環境を守っていこう、という流れは全国で大きく広がっています。裁判長、いまならまだ間に合います。このような変化と動きを配慮され、地権者・住民の切なる願いを汲み取っていただき、騒音や大気汚染など公害被害が心配される必要のない国分寺道路計画認可を取り消すべきです。どうか賢明なるご判断をされるようよろしくお願いいたします。

posted by 338 at 11:04| 338号線計画を考える資料 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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