2010年12月08日

338号府中所沢線は必要なのか?(1)ー「道路の整備効果」と南北方向の移動需要

 今年2月の都市計画変更素案説明会で配布された資料「道路の整備効果」をお読みになりましたか? (※東京都のホームページでダウンロードできます)この資料「道路の整備効果」には、疑問を感じるデータがたくさんあります。338を考える会が独自に行った調査と合わせて、こうした疑問点、矛盾点をこのブログでご紹介していきたいと思っています。

 まず、この資料の最初のページをご覧ください。はじめに登場する「整備効果」は、「多摩地域における人やモノの動きの円滑化」です。そして、かねてからよく聞かされている、南北道路が必要だという論点が出て来ます。

南北方向の移動需要.jpeg
(図1:東京都の配付資料「道路の整備効果」より抜粋 ※画像はクリックすると拡大します)

平成42年にはどうしてこんなに車の移動が増えるのでしょう?

 図の下に小さく「H11道路交通センサス及びH17道路交通センサスより集計」とありますが、平成11年と17年の数字は実績値、42年は推計値です。人口も交通量も減少傾向にある現状では、42年に17年より34%も増加し、90,000台に達するという推計には疑問を感じざるをえません。推計の根拠となるデータや計算方法について東京都に質問しても、納得できる答えは返ってきません。
 また、平成11・17年の実績値も、自動車所有者の一部に、いつ、どこからどこへ車で移動したかを聞くアンケート調査をもとに、統計的に推計した数値で、実際に計測した値ではありません。

南北方向の移動需要は高まっていると言えるでしょうか?

 図の上には「多摩地域の南北方向の移動需要が年々高まっている状況が分かります」とありますが、元になったデータは平成11年と17年の2年分の実績値のみ。たった二つのデータから「年々高まっている」状況と分析すること自体に無理があります。

 また、62,000台や67,000台という数字は、東村山から町田までを通して移動した車の合計ではなく、東村山市発小平市着も多摩市発町田市着も1トリップ(移動)として数え、6市を出発点又は終点とするトリップ数の合計です。
(詳しくは→※1)

 当会では、平成11年センサスの数字と比較して、17年センサスで6市間の移動がどれだけ増減しているかを、表1にまとめてみました。

表1:平成11年センサスと比較した平成17年センサスの6市間相互出入りトリップ数の増減338-6shikan.jpg
 すべての地域間の増減数を足すと、5,349台の増加です。移動がもっとも増加しているのは東村山市−小平市間で10,515トリップ(=+5630+4885)ですが、ここは特別に多く、それ以外はぐんと減って、多摩市−町田市間で2,025トリップ増加、東村山市−国分寺市間で1,278トリップ増加という具合です。

 反対に、国分寺市−府中市間で4,468トリップ減少、小平市−国分寺市間で3,675トリップ減少、府中市−町田市間で2,133トリップ減少など、減少した区間も目立ちます。そして、6市の北端の東村山市と南端の町田市の間の出入りは、平成11年、17年のセンサスともに、0トリップです。これは、338号線の必要性を証明する数字とは言えないでしょう。

 このようなデータから「南北方向の移動需要が年々高まっている」という単純な結論を導き出すところに、東京都の結論ありきの姿勢が表れています。
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※1 この数字は、この区間の道路全てで行った交通量調査にもとづく数字ではなく、自動車所有者の一部に対して、いつ、どこからどこまで車で移動したかを聞くアンケート調査(OD調査(自動車起終点調査))にもとづいています。たとえば、調査対象の1日に、1人が東村山市と国分寺市を往復した場合には、東村山市発国分寺市着が1トリップ、国分寺市発東村山市着が1トリップ、合計2トリップとなります。
 また、この調査はある共通の1日にすべて行われたのではなく、平成17年の場合には10月の2日間と11月の9日間、12月の2日間に行われています。
 データの性格を示す数字を一つ書いておきます。平成17年の場合、「登録台数3,887,558台(A)」に対して、「調査対象台数(B)」は50,708台で、抽出率(B/A)は1.3%。さらに「実調査台数(C)」が28,431台、「有効回収台数(E)」が14,515台で、有効回収率(C/E)は51.1です。つまり、登録台数に対する有効回収台数の比率は、約0.37%となります。
 17年の道路交通センサスが掲載されている東京都建設局道路建設部の「東京都の自動車交通の実態〜平成17年度自動車起終点調査より〜」(平成21年2月発行)には、「OD調査は、基本的には抽出調査であり、(中略)次元が高い多重クロス集計などでは、集計項目ごとのサンプル数が加速度的に小さくなり統計的精度が十分に得られない場合もあるため、集計結果の取り扱いには注意が必要である」と書かれています。

posted by 338 at 23:49| 338号線計画を考える資料 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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